シンガポールに(ますます)集まる投資家の目線

香港で6月に始まった動乱が長引くにつれ、金融資産が香港からシンガポールに移動する動きが目立つようになってきた。複数のプライベート・バンカーに取材したBloombergの7月に記事によると、「香港の混乱による資金流出は政治色が強い話で、多くが実名を出すことを拒んだ」としながらも、彼らからの証言をベースに、資産移転の問い合わせはすでに手を打っているトップ富裕層からではなく、1000万ー2000万米ドルの資産階層からのそれが目立つ、という。また、この流れはシンガポールの金融当局MASも把握していて、国内の金融機関に対し、問い合わせ顧客に香港の問題を公に非難しないよう注意喚起をしているという。

今月18日のBloomberg記事はさらに、金の保管場所としてアジアでは、香港からシンガポールがより好まるようになった傾向を取り上げている。記事中紹介される香港の資産保管会社によれば、保管先についての問い合わせとしてこれまではシンガポール50%、香港35%くらいの割合だったのが、このふた月で75%対10%と、大幅にシンガポールへ傾斜したという。

これを背景にBloombergは、今後は香港への投資は冷え込み、シンガポールがその受益者になると分析。7月の記事では、シンガポールの資産会社Portcullis Group会長による「香港は自分の足を撃ったようなもの。シンガポールがそんなことをすると思うか?」という辛辣なコメントを紹介している。(記事を転載したシンガポールのStraits Timesはこの発言を削除している。)

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)