ミャンマー汚職防止委員会の1年

昨年6月に本ブログで取り上げたミャンマーの汚職防止委員会(Anti-Corruption Commission、ACC)、設立から一年半が経ち、年次報告書の報告と質疑が連邦議会で行われた。ACC委員長のU Aung Kyi氏の報告によると、2018年の1年間で、2017年の約5倍の10,543件の苦情申し立てがあったが、ACCが成功裏に調査・起訴したのは46件だけ。1,795件が連邦省庁や地方自治体に対応案件として引き渡され、8,092件が汚職防止法に準じない案件、十分な証拠がない、また苦情に関して裁判が行われている等の理由で取り扱われなかった。取り扱われなかった案件については、苦情を申し立てた人に理由を説明したとしている。残りの610件に関しては、まだ精査中だ。

連邦省庁や地方自治体に回された1,795件については、536件しか実際に対応されておらず、最も苦情が多かったヤンゴン地方政府では249件のうち149件が対応されだけに留まった。議会の質疑でも問題視されたのが、汚職の温床でもある連邦省庁や地方自治体への関係有無の確認無しの案件引渡し、その後のフォローアップの欠如、手ぬるい処罰だ。特に公金の横領に関しては十分な管理制度がなく、ACCのより強力な監視・調査が必要だと指摘された。

また、軍が権限を持つ三つの省庁(内務省、国防省、国境省)に関する案件に関しては、軍事政権時に作られた憲法で軍独自の調査・処罰を行うことが許されており、ACCは手を出すことができない。

ACCが独立第三者グループを雇って行った今回の調査を報道した中には、「回答者の9割が、贈賄しない限り政府と取引をすることは難しい、と答えた」と伝えるものもあった。2018年末までに汚職案件は減っておらず、むしろ以前と同じレベルだった。

汚職防止委員会の活動は始まったばかりだ。汚職防止法と汚職防止委員会の役割がより世間に周知され、汚職防止のための教育が広がれば更なる防止につながる。今後はより厳しい処罰規定を持ったルールも必要となろう。人員確保や調査を可能にする予算的バックアップも必要だ。今後の活躍に期待したい。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)