蜜月カンボジア・中国に影を落とすビデオ

中国人ギャングと称する集団が5月12日に、「シアヌークビルを混乱に陥れる」などとするYouTubeビデオを投稿した問題。在カンボジアの中国大使館は17日、「飲酒の上での投稿でギャングとは関係ない冗談」とするコメントをフェイスブック上で明らかにした。「重慶から今年3月にカンボジアに来ていた労働者による投稿で、(ビデオに映る約20人は)いずれもトライアド(中国ヤクザ)とは無関係」とした。当初、「オンラインで活発化するトライアッドの一味」としていたカンボジア当局の見方を否定した

この騒動、カンボジアにとっては踏んだり蹴ったりのようだ。すでに20人はカンボジア国内にはいないとされるが、同国で騒乱の罪は重く、「外国人だからといって放っておいていいのか」という在野の声が上がり、20人の発見と送還を求める動きにつながっている。

背景には、フンセン政権が中国からの投資を強く支援する一方、インフラ建設で大挙して流入する中国人への反発感情が日増しに強くなっていることがあるようだ。昨年、当局が把握した流入中国人労働者は正規の査証を受けた人数だけで約1万6000人、しかし、シアヌークビルだけで無査証を含め約7万8000人が就労しているという。「中国製」カジノが林立するシアヌークビルのある地区長(選挙で選出される)は、「中国人による荒い車の運転、危険極まりない建設現場に辟易している」というような匿名コメントをメディアに寄せている。シアヌークビルのYun Min首長でさえ、中国人による犯罪増加とマフィアによる犯罪懸念から、内務省に状況改善要請をしたほどだ。外交専門誌もカンボジア人の対中反発感情に絞った論文を出した。

それにしても、YouTubeのビデオを「飲酒の上の冗談」と断定した根拠は何なのだろう。観る限り、酔っ払っている気配はなく、冗談というには統率の取れた映像だ。ビデオは今でも上記のSouth China Morning Postの記事からも観られる。このまま収束するには少々気持ちが悪い。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)