ミャンマー議員、「軍と政府の関係」を問う

先日、ミャンマーの下院(人民代表院)議員が、軍と政府の関係について、内政的には非常に微妙な、また外部アナリストには興味深い質問を提出した。提出したのは少数民族の多いカヤー州Maese選挙区のU Than Lin Lin議員(国民民主連盟、NLD)。質問は「軍は連邦政府の指揮下にあるか」「政府と武装少数民族間で紛争は起きているか」であった。議員は、議場という公の場で質問を望み(叶わず)、議場で回答を得ることを望んでいたものの、下院議長の判断で、質問への回答は文書により後日されることとなった。

ラカイン州で軍と少数民族武装勢力のアラカン軍(Arakan Army、AA)が戦闘を続ける中、質問は、政府の指揮の下で軍が攻撃を続けているのか、または軍が勝手にやっているのか、その明確化を意図している。

2008年に制定された憲法で、ミャンマー軍は上下両院の25%の議席を与えられ、軍の最高司令官は国防大臣、国務大臣、国境大臣を、大統領の承認のもと任命することが許されている。最高司令官は、直接大統領に報告するので、副大統領くらいの権限を持つ。軍政から民政へと移行した(移行中)とされるミャンマーだが、国政に関する軍の権限が憲法で保障されており、軍が政府の判断に大きな影響を持っていることは明らかだ。

U Than Lin Lin議員は、この質問をすることが許され、また取り上げられただけで満足だとしている。確かに政治的に機微な点だけに、質問が許されただけでも、ミャンマー議会が着実に民主化している表れだろう。

軍の役割をさらに限定する憲法の改正には、議会の75%超の賛成が必要だ。今年1月にNLDが憲法改正を検討する委員会の設置を求める緊急動議を議会に提出したが、ハードルは高く、道のりは長い。ミャンマーの政治・国内情勢は、当分山あり谷ありが続きそうだ。

(Hummingbird Advisories 白新田  十久子)