タイの政治は永遠の綱引き?

タイのタクシン元首相が3月22日、自身の娘Paetongtarn Shinawatra氏の結婚式に、香港のホテルに姿を現した。元首相に同行したのは、ウボンラット(Ubolratana、Ubonrathなど)「元」王女である。ウボンラット元王女といえば総選挙前の2月9日、タクシン派の国家維持党が党首に擁立すると発表し世間をあっと言わせた人物。先週末の新国王戴冠式に伴い「普通の人」になってしまったが、依然として有権者の人気は高い。

この時、ウボンラット元王女の結婚式出席について、一部関係者の間で話題になったことがある。「元王女が指にはめていたピンク・ダイヤモンドの指輪。タクシン氏から送られた婚約指輪だ」というのである。この結婚式を伝えるタイ語のウェブサイトの写真は、他のものより多少鮮明で、それによれば確かに右手薬指の指輪はピンクに見えなくもない。ピンクダイヤといえば昨年11月、ハリー・ウィンストンがクリスティーズで19カラットのものを5000万米ドルで競り落としたことで話題になった。

話をしてくれたのはタイ国軍筋。都心部の静かなレストランで話してくれた。「タイの政治は、ずーっと民主主義信奉者と王政支持派の綱引き。両者ははっきり区別できるものではなく、バランスを計りながら引き合い続けるだけ」。ついでに新国王就任に伴うタクシン氏の恩赦、つまり国内帰還については、「その可能性はほとんどない」という。すでに3月30日には王冠勲章を剥奪され、軍の中には「XXX(「裏切り者」を意味するタイ語)はよろしくない」という意見が優勢だそうだ。

メディアには2人の婚約のことなど書いていない。が、話が本当だとすればタイ人脈や政治の複雑さ(少なくとも日本人には)が分かろうものである。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)