ロンドン金属取引所にもSDGsの流れ

ロンドン金属取引所(London Metal Exchange)が、取引金属の大幅な規制に乗り出す。昨今のSDGsの流れに押し切られた形で、鉱物産出国での汚職、児童労働・奴隷労働などの防止を目的に、取引金属選定で「国際基準」にあった商流確保を目指すという

鉱物バリューチェーンの適正化については、アフリカ諸国などの紛争地域で採掘された鉱物資源(「紛争鉱物」)を取引しない動きが知られる。LMEの動きは、これを金属取引全般に当てはめようというもの。取り扱い製品のバリューチェーン適正性を保証するため、市場参加者に対し、2022  年までに多くのデュー・デリジェンス・プロセスを導入することを求める。

ベースになる基準は「採取産業透明性イニシアティブ」(Extractive Industries Transparency Initiative, EITI)のスタンダードになるようである。すでに鉱物産出国の立場から世界51か国がEITI基準採用を表明。東南アジアではインドネシア、ミャンマー、フィリピン、東ティモールが入っている。ボーキサイト算出を最近再開したマレーシアは入っていない(ボーキサイトについてマレーシアは、中国業界からの圧力でっ国内違法採掘をしばらく放置、環境汚染を引き起こした後、3年間採掘停止措置が取られていた)。日本はOECD各国と並び「支援国」という位置付けだ。

新基準導入には難題も多そう。LMEは世界中に約700の鉱物保管用の指定倉庫を持ち、この在庫を巡って投機や詐欺話が少なくない。筆者も仕事で関わったことがあり、さながら株式市場の「仕手筋」が横行する世界に近い。LME所長も「環境基準が取引にあたっての最優先指標になるかというと、時期尚早ではないか」と公に発言するあたり、抵抗勢力も多いことが窺われる。商流適正化にはまだ紆余曲折ありそうだ。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)