砂を巡る戦い、ベトナムにも

カンボジア政府が7月、自然環境の保護を名分に砂の輸出禁止政策を打ち出した。出荷の大部分はシンガポールでの建設や埋め立て向けだったが、ベトナムも国内需給の逼迫からカンボジアからの輸入を検討していた矢先だった。

ベトナムは地すべりなどを防ぐため砂の採取は河川の浚渫目的に限定している。このため正規に認可されている採取では大都市需要の6割しか満たせない。建設ラッシュやインフラ整備で国内需要は2015年の9,200万立方メートルから2020年には1億3,000万立方メートルに増えると見られるが、国内埋蔵量は23億立方メートル。あと15年で枯渇するとも言われる。

政府は浚渫認可の厳格化に乗り出したが、違法採取は後を絶たない。9月末にはハノイ近郊バクニン省で、浚渫認可を却下された砂採取会社のオーナーが省人民委員長を脅迫したとして逮捕されている。

天然砂の価格は昨年から倍増した。「工事が活発化する年末にかけてさらに80~200%上昇する」との予測もある。一方でメコンデルタでは規制強化の煽りを受けた砂の運搬船が深刻な不況に陥っている。

湖の砂採取や人工砂の活用案も浮上しているが、実用までには時間がかかるはずだ。砂不足の深刻化は建設工事のコスト増、悪くすればベトナムのインフラ発展のブレーキになりかねない。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)