活動家殺害とビジネス環境

間も無くタイの総選挙。現軍事政権を支える「国民国家の力党」や、マスコミが優勢と見る旧タクシン派のタイ貢献党など、主要政党だけで9つを数える乱立状態である。国王陛下の姉にあたる王女を擁立したタイ国家威信党は解党処分となったが、他の東南アジア諸国より民主選挙が機能しているようにも見える。

そんな矢先、社会の闇をえぐるような事件が表に出た。一つは、2014年からの軍政に反対し国外逃亡する活動家3人が、昨年12月12日、潜伏先のラオスで拉致され殺害(うち78歳リーダー格の遺体は発見されていない)されたとみられる事件。行方不明になってから2週間後、300キロ離れたメコン川(ラオス・タイ国境)で岸に流れ着いた遺体が発見された。行方不明になったのは、タイ首相が会談のためラオスに到着した日。3人は、活動家を監視するはずの地元警察官から「危ないからしばらく違う場所へ身を隠せ」と警告を受けていた矢先だったという。遺体の顔は破壊され、内臓はえぐられていたという。

もう一つは、ベトナムの人権活動家がタイ・バンコクの国連難民高等弁務官事務所に駆け込んだ翌日(今年1月26日)、行方不明になったというもの。ベトナム軍がタイ当局の協力で拉致、自国へ連れ戻したのではないかと言われている。

関係当局はもちろん、事件とは無関係との立場だ。が、何も手を打たなければ後で国際信任の問題となって跳ね返る可能性がある。また、自由主義、民主主義の浸透度は国の経済やビジネス環境のアカウンタビリティと表裏一体なことを思い返せば、類似事案をどう当局が扱うかは、民間企業にとっては投資環境を観る判断材料になる。

亡くなった方のごめい福をお祈り申し上げます。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)