地元産品も新幹線もそのままでは売れない

シンガポールでは日本のこってりラーメンが人気だが、日本人には油がキツく、味とかコクは期待薄。当地の人は油の濃い料理を好むためなのだろう。一方、すましの醤油ラーメンを食べたいと思っても、店が極めて少ない。シンガポールの人は料理で出汁を取らないし、何より料理の「香り」が得意ではないからという理由を聞いたことがある。

九州の某自治体をサポートする大手コンサルタントと面談した。域内企業は(大変失礼ながら)中小がほとんどで、海外に販路を求めたいのだがリソースが足りず、コンサルタントはそのお手伝いで自治体に雇われたのだという。「皆さん、今作っているものが人口減で売れなくなっているから、余った分を外へ出したいんですよ」。

日本のインフラ技術は素晴らしい。が、進出する国のニーズに合うかというと疑問が湧く。インドネシアやベトナムなど至る所でインフラ輸出は「失敗」、代わって中国や韓国企業が奪っていく事例が積み上がる。インドネシアの高速鉄道逸注後、日本政府は大手コンサルタントをジャカルタに送り込み原因究明に当たったというが、事後の原因究明は、やるに越したことはないものの、足りないのは事前のインテリジェンスを戦略決定に生かせるか、つまり情勢分析によっては戦略変更ができるかどうかではないか思う。

こんなことを考えていたら、タイ・バンコック銀行執行副頭取の小澤仁氏が「高速鉄道インフラ輸出計画のみじめな結末」を執筆された。筆者もお世話になる「ニュース屋台村」(www.newsyataimura.com)での掲載を、お許しをいただいて少し引用する。日頃から舌ぽう鋭い小澤氏のご主張は、見事に冒頭と結語に集約されている。曰く、「残念なことにこの親日国タイにおいてでさえ、国力の低下とともに日本はますます期待されなくなっている」「官民を挙げての日本の高速鉄道インフラ輸出政策は、その土俵にも立てないほど衰退してしまったのであろうか?」。

地元産品を改良もせず海外で捌こうとするメンタリティと共通する点があるように思える痛快な読み物。現場にいればこその知見、視点はお見事という他ない。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)