政官法癒着の仕組み?(マレーシア)

マレーシアで政府と裁判所を巻き込んだ新たな不正スキームが明らかになり、物議を醸している。控訴審判事Datuk Hamid Sultan Abu Baker氏が別件で提出した宣誓供述書で明らかにした

複雑な仕組みはこうだ。民間の法人・個人が実現見込みのない公共事業を仕立て、政府に申請する。政府も、これが実現見込みのないプロジェクトと分かった上で発注。しかし後になりこの契約を破棄する。そこで申請者は「契約破棄で不利益を被った」として裁判所に訴え、裁判所判事も事業申請者と政府の共謀を分かった上で、訴えを認め、政府から違法な「損害金」を受け取る、というものだ。

このスキームが驚かれているのは、事業申請者と政府の共謀(当然贈収賄の関係が疑われる)はもちろん、そこに裁判所(判事)が関与していたことと、この事業申請者は少なくともAbu Bakar氏の知る限り全てで、裏で政治家が糸を引いていた、という点だ。同氏は告発にあたり、同僚判事らから公表しないよう圧力を受けたことも明らかにした。

今のところ告発者はAbu Bakar氏1人で、特異ケースが表に出た可能性もある。それにしても、マレーシアは東南アジアで「シンガポールに次いで法的安定性がある」と言われる国だ。もちろん疑わしい側面は少なくなく、告発は、外部には窺えない社会の暗部がたまたま顔をのぞかせたと見るべきだろう。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)