ラカイン州投資フェアと治安の問題

今月後半、ミャンマーのラカイン州南部のガパリビーチでラカイン州投資フェア開催される。ラカイン州政府とミャンマー投資委員会が日本の国際協力機構(JICA)と日本貿易振興機構(JETRO)と共に行うもので、日本が同州への投資促進イベントをするのは初めてらしい。

最近ニュースでよく取り上げられるラカイン州は、ロヒンギャ難民問題やミャンマー軍と少数民族武装組織の衝突などを抱え、治安情勢はさらに不安定になりつつある。外務省の海外安全情報によると、難民問題や武力衝突の問題を抱える北部のマウンドー県は渡航中止勧告のレベル3、その他のラカイン州地域は不要不急の渡航中止のレベル2が出されている。アムネスティー・インターナショナルの報告によれば、ラカイン州北部では現在、ミャンマー軍や武装兵士による一般市民の拘束や国際機関からの支援物資の搬入妨害が横行しており、最近の戦闘ではロヒンギャではない、ミャンマー人として国籍を持つ仏教徒の少数民族が被害に遭っている。戦闘の間に略奪や破壊を行い、被害に遭った村人が帰って住める状況にもない。

ミャンマー西域に位置するラカイン州は南北に縦長で、治安情勢の悪化は北部マウンドー県に集中する。今回投資フェアが行われる南部は比較的落ち着いている。石油やガスなどの自然資源も豊富とされ、ラカイン州は中国が所有する石油・ガスパイプライン(ベンガル湾からミャンマーを通って雲南州の昆明まで)のチェックポイントとなっている。また、中国は「一帯一路構想」の一部であるラカイン州南部のチャオピュー深海港開発についてもすでに昨年11月にミャンマー政府と枠組み合意をしている。

日本はロヒンギャ問題で難民帰還プロセスの仲介役となっているが、プロセスは遅々として進まない。日本政府は今回の投資フェアで、農業・畜産・漁業、観光開発と中小企業振興の3部門に注力した投資促進を目指す予定。中国のような大プロジェクトではなく、地元の人たちに資する形での投資を通じて、州の経済発展を治安安定に繋げようとしているように思える。

先週、丸山市郎・在ミャンマー日本大使がジャーナリストとの会合で、「ラカイン州に投資を募る中での一番のチャレンジはインフラと治安」と話した。インフラ整備のODAは常套手段として、南部は比較的「落ち着いている」と言うものの、外務省が「不要不急の渡航中止」を出している場所である。投資フェアはいいが、政府として具体的なリスク説明とリスク評価、いざという時の支援体制周知など、明示する必要があるのではないだろうか。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)