スービック湾の造船所、中国企業に渡るのか?

ドゥテルテ政権下で関係を近づけているフィリピンと中国だが、二国間関係の一つの試金石となるような案件が浮上している。ルソン島の西海岸に位置するスービック経済特別区の造船所だ(写真はスービック湾周辺)。韓国の韓進重工業の現地法人が運営していたが、先月会社更生法を申請。負債総額は4.12億米ドルで、フィリピンの企業破綻では過去最大だ。政府は韓進の要請を受けて支援企業を探しており、現在の時点で中国企業2社(一つは国有企業)と日本とシンガポールの機関投資家が関心を示している。

ご存知の通り、スービック湾は米海軍の主要基地があったところ。水深が深く南北に伸び、湾口より湾奥が広く、台風などの自然災害から守られやすい地形だ。軍事戦略的に重要な場所で、今回中国企業が関心を示したことに、フィリピン国内では「経済問題だけでなく国家安全保障上の大変な問題」とし、仮に民間の中国企業がスポンサーになったとしても、中国軍の事実上の「基地」として使われるのではないかとの懸念が上がっている。

ドゥテルテ大統領は「中国企業を扱うのには慣れている」とコメントし、中国企業がもしスポンサー企業になったとしても問題ないとしている。一部には、中国企業がドゥテルテ大統領のお友達会社をパートナー企業として選び、立場を有利にしようとするのではという噂もある。

今までの中国の南シナ海での行動、そして一路一帯で相手国を借金漬けにする外交などからの「中国不信」はフィリピン国民に根付いている。フィリピン国内の中国に対する感情は、ドゥテルテ大統領ほど「慣れていない」。地元の経済や雇用問題を考えると一刻も早くスポンサー企業の選定が必要だが、そこは安全保障も含め包括的に考慮される必要がある。

(Hummingbird Advisories  白新田 十久子)