ニュージーランド、水質汚染が選挙争点の一つに?

映画「指輪物語」が撮影されたことでおなじみで、豊かな自然と美しい山と川を誇るニュージーランド。しかしその環境が変わりつつある、いや、すでに変わってしまっているという。2014年には60%の川と湖が水泳に適さないとされ、それから状況は悪化の一途をたどっているのだ。

水質汚染の主な原因として挙げられているのが、合成肥料を使った酪農、そしてアジアからの観光客が急増している観光業だ。どちらもニュージーランドのGDP約2000億米ドルの3.5%と6.1%を占める主要産業。人口470万人のニュージーランドには500万頭の牛がいる。酪農業が拡大し、合成肥料の使用と糞便が増える中、水質汚染が原因で遊泳禁止になっている海水浴場もある。有名観光スポット、タラナキ山周辺の海水浴場も糞便汚染が原因と思われる大腸菌汚染で遊泳禁止となった。

観光客の増加は利益の種と悩みの種の両方を蒔く。日本でもそうだが、観光客が増ればゴミも増え、マナーの悪い観光客は美しい景観を汚したり破壊したりする。フィリピンのボラカイ島は、マナー違反の観光客の増加でゴミだめと化し、フィリピン政府が観光客のアクセスに規制をかけたほどだった。そんな光景がニュージーランドでも広がりつつあるのだ。

政府もようやく腰を上げつつある。2030年までにはニュージーランドの主要河川と湖の80%を、そして2040年までには90%を遊泳可能にするとした国家目標を、2017年に打ち出した。が、現在のところ、具体的な効果が出るような対策を酪農業や観光業に出せていないようだ。

折しも、ニュージーランドでは来年総選挙が行われる。水質汚染、環境保護も重要な争点の一つになるだろう。現状が続けば、「指輪物語」で観た美しい自然が破壊されるだけではなく、自然に依存する酪農業も観光業もダメージを受けることになる。

(Hummingbird Advisories  白新田 十久子)