スポットライトを浴びるタイの難民政策

ここ数週間タイの難民政策が国際的スポットライトを浴びた。原因は、家族からのDVを訴え、オーストラリアでの難民保護申請を希望していた18歳のサウジアラビア人女性、ラハフ・ムハンマド・アルクヌンさんを、母国サウジアラビアに強制送還しようとしたからだ。アルクヌンさんは空港内の宿泊先ホテルの部屋に立てこもり、自身の現状をSNSに投稿。拡散したメッセージは世界の注目を集め、瞬く間にタイ政府の対応への非難の声が世界中から上がったのだ。その後アルクヌンさんは、国連難民高等弁務官質の保護を受け「例外的に」釈放され、結果的にカナダでの難民申請が許可された。

今回の一件が注目を集めたのが理由ではないとしつつも、タイ入国管理局は、「今後難民が、強制的に送還されることはない。」とし、今までの難民政策からの転換と改革を約束した。

ここで問題になっているのが、バーレーン人難民でオーストラリアに永住権を持つ、元バーレーンサッカー代表チームメンバーのハキーム・アル・アライビ氏の取り扱いだ。オーストラリアのセミプロサッカーチームでプレーする彼は、休暇でタイに来たのだが、タイの移民管理局によって拘束された。バーレーン政府の要請でインターポール(国際刑事警察機構)から政治犯として登録されていたのだが、難民保護の観点からすでに誤りとされ、訂正されている。オーストラリア政府はアル・アライビ氏の一刻も早い釈放をタイ政府に求めているが、タイ政府は裁判により判断するとし、この件に関しては譲歩の姿勢を見せていない。

タイではここ数か月で、数百人の不法移民と見なされた難民や難民保護申請者が拘束され、世界の難民・人権グループから批判を浴びている。特に子供たちを家族と引き離し、別々に政府収容所で長期に渡り拘束していることが問題となっている。

タイは国連難民条約の署名国ではないが、難民政策の転換・改革のためには、条約を視野に入れつつ、法整備を行っていく必要があるだろう。まだまだ時間はかかりそうだが。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)