フン・セン首相、新貿易政策を発表

カンボジアのフン・セン首相は、1月11日に行われた毎年恒例のメディア代表との夕食会で、EUとアメリカ市場依存からの脱却を目指す新たな貿易政策、「国家独立政策(National Independence Policy)」を発表した。折しも先週、米議会上院テッド・クルーズとクリス・クーン両議員が、特恵関税制度(GSP)でカンボジアが享受する特別貿易待遇見直しを米政府に要求する「2019年カンボジア通商法案」を上院に提出した直後だ。昨年12月6日の本欄ではEU制裁を恐れカンボジアが態度を軟化する可能性を伝えたが、どうもそうではないらしい。

新政策は、周辺国境の貿易をさらに促すことで、欧米市場依存からの脱却を目指している(カンボジアはベトナム、ラオス、タイと国境で接している)。具体的な政策の一つとして、国境での円滑な貿易を阻害する要因になっている不必要な人員削減と汚職の取り締まりに直ぐに着手するとした。また、国境での輸出入費も下げるとした。

EUとアメリカは、カンボジアの衣類・織物産業と農作物の主要輸出市場で、特にEUはカンボジアの衣類の46%を、アメリカはカンボジアの米の24%を輸入している。国境貿易を円滑に促進しても、欧米市場依存からの脱却できるようになるまでの道のりは長いだろう。フン・セン政権とEU・アメリカの対立は今後も続きそうだ。同時に、日本政府と産業界にとっては、カンボジアの中国依存へのさらなる加速の可能性が懸念されるところだろう。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)