東南アジアは2019年も波高し

2019年の東南アジア・リスクを、政治・外交面、また地政学の面からビジネスに与える影響という視点で考えてみた。

昨年の今ごろは次の5つを上げていた。掲載せず終いだったが、結果的にはいずれも経済活動に与えたインパクトは大きかったのではないか。

  • 北朝鮮問題
  • 中国一帯一路の影響(影響力)増加
  • アメリカのプレゼンス(影響力)低下
  • 東南アジアの選挙(タイ、マレーシア、カンボジア;インドネシアでの2019年選挙への政治工作)
  • 日韓関係の悪化

外したのは米中貿易摩擦がここまで進展するとは想定しなかった点。両国関係は今では、「米中サイバー戦争」「米中冷戦」(Council on Foreign Relations)と表現されるほどに悪化し、特に製造業にとっては痛手で、バリューチェーンの修正、変更を余儀なくされている。

バリューチェーンといえば今年は、国連提唱のSDGs(Sustainable Development Goals)やESG(Environment, Social, Governance)投資の概念がようやく、日本でも企業の戦略策定に一定の影響を与えそうだ。すでに石炭開発投資の抑制や核兵器開発企業への投資取りやめ表明をする金融機関も出始めた。「ワセダクロニクル」など新興メディアもこの視点での報道が目立つ。

こうした点を加味して、2019年の東南アジア・リスクに今年は次の5点を上げたい。

  1. 国境を超えたサイバー冷戦の悪化(政府:施策導入の遅れ、民間:人材枯渇)
  2. 「南進」中国(1月7日にWSJが1MDBで、8日にはReutersがHuaweiで見事な特ダネを書いた)と「引き潮」米国がもたらす地域バランス不安定化(引き続き)
  3. SDGsやESG由来のレピュテーション・リスク増大
  4. 草刈り場になるミャンマー(中国、ロシア、イスラム過激派に対してまとまらない旧西側支援体制)
  5. 自国主義・専横化が進むアセアン各国の政治と、選択的になる外資導入基準

専門家諸氏によれば、今年の世界情勢はあまり明るい展望が描けない様相。2019年は、日本国内が「変化に乏しい」一方、「海外情勢はあまりにも不透明」(双日総合研究所チーフエコノミスで当社アドバイザーの吉崎達彦氏)。東南アジアの波は今年も高そうである。

(本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。読者皆様よりご意見いただければ幸いです。)

(Hummingbird Advisories  白新田  十久子、佐藤  剛己)