消えぬISISの脅威

マレーシア警察庁長官は12月10日、11月19日から28日に行われた4州に渡る特別捜査でISIS(イラクとシリアのイスラム国)に関連した活動をした疑いでマレーシア人5人とフィリピン人2人を逮捕した、と発表した。蜂蜜売り、運転教習所の職員、石油とガスのエンジニア、工場のドライバーと、それぞれ表面上は普通に生活していたようだ。日常彼らに接した人たちは、彼らがISISの活動をしていたとは夢にも思わなかっただろう。

11月19日に逮捕された蜂蜜売りの男は、ISISに参加しているマレーシア人の戦闘リーダー、アケル・ザイナルから指示を受け、マレーシア国内におけるテロを画策していた。11月20日に逮捕されたエンジニアの男は、アケル・ザイナルの前任者に3,500米ドルを2016年と17年に送金していた。教習所の職員は、インドネシアに拠点を置くISIS支持グループで2017年4月に警察署を攻撃したJamaah Ansharut Daulah(JAD)に資金提供していた。フィリピン南部に拠点を置く過激派組織アブ・サヤフのメンバーも金銭目的の誘拐で逮捕された。

マレーシア警察は10月30日から11月12日にかけても同様のオペレーションを行っており、この時はテロ活動に関わった8人が逮捕されている。マレーシアだけでなく、東南アジアでは定期的に反ISIS・反テロ目的の大掛かりな捜査が行われており、その度にある一定の成果は挙げられているが、ISISの活動・影響を掃討するまでには至っていない。

ノーベル平和賞授賞者でISISの性奴隷にさせられていたナディア・ムラド・バセ・タハ氏のインタビューを最近テレビで観た。まだまだISISの支配の下苦しむ人たちはたくさんいて、世界中からの支援が必要だと切実に訴えていた。様々な国の指導者に会い、支持を得る一方、何らかのアクションを確約してくれる指導者はいないそうだ。

以前に比べてISISの活動はかなり下火になってきている。だが火種は消えていないし、実際に日々被害を受けている人々がまだ多くいる。年末近くになり、ホリデームードが広がる中、まだ消えないISISの脅威があることを忘れてはいけない。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)