ミャンマー:シャン州での民族紛争、国境貿易が原因か

ミャンマーの北東に位置し、中国、ラオス、タイと国境を交えるシャン州で、シャン民族の2つのグループの武力紛争が、罪のない一般人も巻き込み、ここのところ悪化している。ミャンマーには135余りの民族がいて、さらにその中も複数部族に分かれている。シャン州で目下対立するのは、シャン族のRestoration Council of Shan State (RCSS)とトーアン(Ta’ang)族のTa’ang National Liberation Army(TNLA)。もともと部族間衝突が多発する地域だが、先週からの武力紛争で200人以上が村を追われ、国内避難民となっている。

RCSS とTNLAの紛争は、RCSSの兵士がTNLAの兵士によって襲撃されたとして、2015年2月に始まった。2015年10月に停戦合意がされたものの、その後シャン州南部をベースとするRCSSが徐々に北進し、国境際の北部をベースとするTNLAとの紛争へと再発展した。その後2度の協議が行われたが、停戦には至っていない。

RCSSの北進はミャンマー国軍がサポートしているとの情報は、各所から聞こえる。シャン州北部は中国との国境貿易が盛んで、中国の一帯一路政策で更にその重要性は増している。もとは敵対関係にあったRCSSとミャンマー国軍が協力する背景には、国境貿易の利益追及という共通の目的のためだというのがその理由だ。TNLAをシャン州北部から追い出し、ミャンマー国軍の庇護のもと、RCSSが中国との国境貿易をコントロールしようという算段だ。

しかし、そう簡単にTNLAがベースを明け渡すとは考えにくい。紛争が続けば、さらなる民間人が国内避難民となり、犠牲者も出る。国連人道問題調整事務所によると、長く続く紛争のため、シャン州北部では8500人(80パーセント近くが女性と子供)以上が避難民となり、その数は増加の一途だ。

ミャンマー政府は民族間の停戦調停を進めているものの、シャン州内の調停には今のところ積極的に関わっていないようだ。ミャンマー国軍が介入する中、文民政府が口を出せる状況にないのかもしれない。被害の拡大を防ぐためにも、一刻も早い調停が望ましいが。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)