銀行のドン逮捕、狭まるズン前首相包囲網

ベトナム4大国業銀行ベトナム投資開発銀行(BIDV)のチャン・バック・ハー前会長の逮捕・起訴が11月29日に発表された。ハー氏は13年にわたりBIDVの頭取、会長として君臨した「銀行界のドン」だ。オブザーバーの間では、グエン・タン・ズン前首相の側近とされる人物がまた逮捕され、ハー氏と近かった前首相の包囲網がさらに狭まったとの見方が広がっている。

公安省は具体的に発表していないが、2013年にベトナム建設銀行を舞台にしたとした不正融資事件が第1の逮捕容疑とみられる。BIDVは、当時建設銀行の会長だったファム・コン・ザイン氏が設立したペーパーカンパニー12社に総額4兆7000億ドン(2億米ドル)を融資した。ザイン氏は借りた資金を横領し、結果として建設銀行に2兆5500億ドンの損失を与えた。BIDVによる12社への融資を承認したのが、当時会長だったハー氏だ。

共産党は既にハー氏の違反を調査、すでに6月に党籍を剥奪したため、今回の逮捕は驚くに値しない。しかしハー氏は2003年から2016年までBIDVの頭取、会長を務め、ズン前首相と親密な関係を築いていたとされる。

2016年のズン氏退任以降、ペトロベトナム元会長在任期の不正で有罪判決を受けたディン・ラ・タン前政治局員など、首相時代の側近の逮捕や規律処分が続いている。グエン・フー・チョン共産党書記長兼国家主席による反汚職運動の最終的なターゲットは前首相と言われており、ハー氏逮捕を端緒に、不正追及の対象はさらに拡大する可能性がある。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)